Spread

Alteilの爆弾及び無課金青その他についてつらつらと。 知人にだけ通用すれば良いかなとか言う割と閉鎖的な日記

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
このページのトップへ
 言う事を聞かない! 命令を無視した!
 知らん振りした! そっぽを向いた!
 なまけている! 昼寝を始めた!

 僕は目の前が真っ白になった。

 気がついたら、荒い息をつきながらポケモンセンターのベンチにへたりこんでいた。どうやって帰ってきたかは余り覚えていない。ただ力尽きたクチートを抱え、必死になって走ったのだけは確かだ。途中で遭遇したコラッタの噛み跡がズボンの裾に残っている。
 汗を拭って顔を上げると、治療を終えてすっかり元気になったクチートと目があった。つり目気味の顔がさらに不機嫌そうになっている、どうやら怒っているようだ。勘弁して欲しい。怒りたいのはこちらだ。とはいえ声を荒げる気力も無いので睨み返すに留める。何にせよこれは予想外だ、話が違う。おかしいだろう、楽勝のはずじゃなかったのか。

 ため息をつきながらポケモンセンターを出て、キキョウシティの町並みを眺める。他の町と違って古風なデザインの家屋は夕日によく栄えるな、とそんな事を思った。そして夕日に照らされ、一際大きな姿を見せているのがこの町の名物、マダツボミの塔だ。成り立ちとか宗教とかに興味は無いので調べていないが、とにかくこの町の坊さん達の修行の場として使われている施設である。そして同時に、先程惨めな撤退を強いられた場所でもある。

 話が違う、ともう一度心の中で呟く。こういう修行施設に出入りしなくてもいいためのクチートではなかったか。それともレベル70でまだ修行が足りないというのだろうか。色々と不満はあるが、ここのポケモンジムはこの塔の制覇者にしか挑戦権が無いというのだから仕方無い。リーダーは鳥ポケモン使いのハヤトとか言ったか。後で確実に泣かせてやろうと心に決めた。

 できればもう一度挑戦を、と行きたい所なのだが、嫌な思い出が心に蘇って足が前に向かない。
 …個体の能力差は圧倒的だった、それは間違いない。坊さんの連れていたマダツボミの攻撃はほぼダメージなし。三桁単位の回数攻撃を受けない限りクチートは倒れない、そういう状況だった。しかし、このクチートがとにかく言う事を聞かないのだ。記念すべき緒戦からしてマダツボミのつるのムチを受け切ってスタミナ切れに持ち込み、相手を自滅させるという散々な対戦内容だった。断っておくが、勿論僕はその間ずっと攻撃を命じ続けていた。もはや先行き不安とかそういうレベルではない。

 しかしここまでならまだ負ける要素は無いように見える。敵の攻撃など効きはしないのだから。だが稀に反抗心が有り余ってしまったのか、クチートが自傷行為に走ることがあるのだ、これが痛い。クチートにとってはこれも僅かな傷かも知れ無いが、レベル70の体力にキズぐすりが追いつかないのだ。一戦闘ごとにポケモンセンターまで変えれば済む話なのだろうが…少し横着をしたら、最後の坊さんはポケモンを三匹も連れていた。自然と連戦になり、クチートが三回言う事を聞く前にキズぐすりが切れた。挙句があの醜態である。

 以前見かけたアンテナみたいな髪形の少年が先客で居たようだが、彼は無難に勝ち抜いていったようだ。何か説教されていた気もするが、こっちはそれどころではなかったのでよく覚えていない。負けたし。

 あまりネガティブになっていてもしょうがないので、ショップに引き返してキズぐすりを補充する事にした。幸いお小遣いにはまだ余裕がある。キズぐすりを10個まとめ買い…自傷行為五回分か、と考えると少し嫌な気分になる。どくけしの薬も目に付いたが、クチートは毒にかからないから素通りした。本当に欲しいのは命令に逆らって不貞寝した時用のねむけざましだ。…ここには売っていないようだが。
「なぁ、何がそんなに不満なんだ?」
 そう聞いてはみたが思いっきり欠伸で返された。先日噛まれ掛けた記憶が蘇り、大口を開いた瞬間ちょっと退いてしまった。ちくしょう。

 大体なぜクチートなのだ。先日ジラーチ、ピチューは戦闘向きには見えないと言ったが、クチートだってその点ではよっぽどである。種族としての戦闘能力は全ての面でジラーチに劣るはずだ。シンオウチクのポケモンなら、ガブリアスとかムクホーク、ゴウカザルとか他にも色々居るだろうに。何となく腹が立って蹴飛ばしてが、こちらが逆に足を抱える羽目になった。腐ってもハガネ属性か、固い。
 不満のやり場を探した末、ショップを歩きながらあの親戚に苦情のメールを送っておく。途中クチートが棚に悪戯しようとしてまた一悶着あってメールを追加送信したが、結局帰って来たのは「その子のニックネームはカルラだよ」という一文だけだった。そういう問題なのだろうか。

 もう今日の再挑戦は諦めた。ポケモンセンターの簡易宿泊施設で夜を明かす事にし、もう一度クチート…カルラのデータを見直す。あれから一切返ってこないメールには腹が立つが、一応彼は彼なりに気を遣ったのだろうという事が何となく分かる。ハガネの耐性は優秀だし、命令を無視しても戦えるようにという配慮のためか、癖の無い攻撃技だけを覚えさせてある。
 そして、次のページで思わず目を丸くした。リボン…勲章や記念品のようなものだが、このクチートはそれが30個以上受け取った記録が残っていた。とにかくやたら可愛がられていたのだと思ってくれれば良い。いっそ異常なくらいに。

 …僕の言う事を全く聞かないのは、ここから生まれるプライドの高さの影響もありそうだ。
 嫌になって枕元にポケギアを投げ出し、僕は目を閉じる。明日はまた坊さんに挑戦する事になるだろう。あれだけレベルの高いポケモンを連れて、逃げ帰った僕はどれだけ滑稽な存在と見られているのだろうか。想像すると暗澹たる気分に陥る。
 これじゃ良い夢は見れないな。そんな事を思いながら、僕は眠りについた。 このページのトップへ

コメント

このページのトップへ

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

このページのトップへ

トラックバック

FC2Ad

Information

lumtum
  • Author: lumtum
  • FC2ブログへようこそ!

Search

Calendar

06月 « 2018年07月 » 08月
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。